いちじしのぎ

生活から一時凌ぎで逃げては文章を書き、また生活に戻る人間の悲喜交交。あるいは、人生の逃避先「山」にまつわる話。

うしろから前へ

なんでもない時に、なんでもないことを打ち込む習慣を再び始めたいと思う。地下鉄の掲示にはあと12分で最寄駅に着くとある。この時間。

耳元ではマイリーサイラスのMidnight Skyが流れている。2020年からの私的なヒットソング。スティービー・ニッキーとコラボレーションしたEdge of Midnightもいい。

取り憑いてくる物事を綺麗に整えておく。マルチタスクの妙技を磨きたいと思う。それは管理なのか、センスなのか。脳のどこを使うと良いのか。

お昼にモスバーガーを食べながら、山の工程を考えていた。キレットを抜けて五竜岳へ。再びの雲ノ平へ。あるいは、南アルプスの深奥へ。

複数の物事がパズルをなすように、一つ一つの計上を確かめ、おもしろさを見出しながら、やすりをかけたり形をだいたんに削ったりする。今の仕事はそんなところなのだが、ここに美しさを見出せていない。

仕事ができる人は、所作に美があると思っている。

 

コーヒーを淹れる人の視線があれほど澄んでいて、湯を垂らす手つきに詰まりはない(詰まりは、ぎこちなさと言っても良い)。

 

所作に詰まりがなく、プロジェクトが澱みなく形をなすように方向を得るプロセスを見出していく。出来する形を先取りして、私はそれを逆側から先取りして、後ろから前に、物を見ている。いいなそれ。