いちじしのぎ

生活から一時凌ぎで逃げては文章を書き、また生活に戻る人間の悲喜交交。あるいは、人生の逃避先「山」にまつわる話。

2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

登山しはじまったけど

1月。初詣のついでにと、自宅にあった動きやすい服装をして、筑波山に登ってから約半年が過ぎた。 ペースもクソも気にかけずに登ったら、あまりにしんどくて「こんなの趣味にするやつ変態か何かだわ」と悪態が止まらなかった初登山から、約半年。今度は「8月…

ジョーカー

観る前と、観た後とでは、何かが違ってしまっている映画というのがあるけれど、「ジョーカー」は間違いなくその1本になる。 信頼しているレビュワーさんが「ただの劇薬」と言い放っていた。「とても危険」とも。公開は2019年の秋で、当時はニューヨーク市内…

地方移住とは「山」である

新型コロナで地方移住への関心が高まっているという。1年半前に関心を高めた当方は「はあ?1年後もちゃんと同じサンプルで継続調査しろよな?」と思ってしまう。 テレワークやら脱オフィスやらで、働く場所を選ばなくなった人たちが、都会の喧騒から抜け出し…

アド・アストラ

映画「アド・アストラ」を観た。モノローグが多い映画だった。公開前に言われていた「アクション大作」はミスリード。主人公ロイを演じるブラピが、著名な宇宙飛行士で父のクリフォード(宇宙人ジョーンズことトミー・リー・ジョーンズ)を探しに行くという…

しんみりしない

帰っている時間が楽しいときが、ずっと記憶に残っている。 「また」と別れて背中を見送り、近くの駐車場から、その人が乗り込んだであろう電車を見送って、近くの自販機で適当な飲み物を買う。 車の中に入って、出先が知らない場所であれば、ナビを「自宅」…

ディズニーと失い

昨年末に配信サービスのDisney+で公開されたピクサー映画「ソウルフル・ワールド」のワンシーン。街路樹の楓の種が、ひらひらと舞いながら主人公の手の中に音もなく落ちてくる。人生のワンシーンの重なりが、後に「Sparkle」となり、「いやあ人生の意味なん…

地元の風景

地元が変わっていく。あの家に住んでいる女の子は、もうとっくに結婚したらしい。子どもがいて、週末だけ帰ってくるんだって。 中高生のころによく行っていたガストは取り壊され、更地になっていた。大学生になった後も、中学の友人たちとご飯を食べた。家族…

受け取り方

日々、言葉を書き、読んでもらう営みを繰り返して、お金をもらっている。以前、お金については信頼が形を帯びたようなものだと本で書かれているのを読み、ああなるほど、と思ったこともある。 言葉というのも信用で、読んでもらい、それを字義通りに受け取っ…

他人のこと

セブンイレブンに「マカロンアイス」が復活していた。 赤城という会社が作っているやつで、これのピスタチオ味がアイスコーナーの頂点に君臨するうまさなのだ。しかし、盛者必衰の理によってピスタチオ味はだいたい1週間ぐらいで消えてしまう。今回はその「…

大丈夫な曲

女性のシンガーを聞くことが多い。とりわけハスキーな歌声を持つ人が好きだ。今はクリスティーナ・アギレラを聴いている。 ディズニー映画「ムーラン」の主題歌「Reflection(リフレクション)」を担当してから20年近く、昨年ディズニープラスで配信公開された…

フリート

朝起きて、ケトルに水を注ぎ入れてスイッチを押し、ベランダの室外機の上で育てているワイルドベリーの観察をするのを、日課にしていた。写真を1枚撮り、簡単に加工して、Twitterの「フリート」に投稿する。その後で、コーヒー豆をガリっと挽いて、豆乳と割…

インフォ疲れ

新型コロナウイルスが無かったらどうなっていただろう。昼食で訪れたタイ料理屋で、食後のコーヒーを啜りながら考えた。 今ごろは五輪一色で、菅総理もまぶたをガン開いて応援メッセージを読み上げていたかもしれない。「暑さに課題を残しました」みたいなニ…

友人が入籍した話

友達が入籍した。 「連絡を取り合おう」と言っておきながら、しばらく連絡がないような人だった。パートナーがいることも(はっきりとは)知らなかった。というか、なんやかんやいるもんだと思っていた。知り合って10年来。言ってしまうと一時期、思いを寄せ…