いちじしのぎ

生活から一時凌ぎで逃げては文章を書き、また生活に戻る人間の悲喜交交。あるいは、人生の逃避先「山」にまつわる話。

2024-01-01から1ヶ月間の記事一覧

生活のマストを外す

ふと、思う。生活の中に「マスト」が多すぎる。 仕事も含めて、みな当たり前に使う「マスト」。MUST。エムユーエスティ、マスト。英語で習う、命令形というやつ。使命や宣言の意味も帯びる。力強い言葉だ。 ああでも、これ、要らない。私はそういう使命感に…

自分らしさは、不能の距離である

自分らしく、と言われる。 全能であればいいのだろうし、自信を持てればいいのだろうし。20代の中ごろまで、ずっと言われた。「自信を持ってね」。自信がある人は違うなあと思った。 私は自信を身につけてこなかった。それ自体を欲しいと思ったこともなかっ…

城ヶ崎で

見覚えがある景色だった。 背の低い松の木々の間から覗くのは、林でなくて水面。1年半前の中禅寺湖畔で、みた景色だったが、音が違った。 岸辺に打ちつける水の、さーさーとノイズのような不規則な細い音に、時折鈍く低い音が混ざっている。ここは伊豆半島、…

狭間の生活

昼飯に来た。今日の日替わりは焼肉定食。 書いておくのだが、仕事始めのノリを作ることに失敗して、生活のテンションが落ちた。部屋で護摩祈祷を流してみたり(パチパチと火の燃える音入り)、善光寺の線香を炊いて部屋を「寺」のようにしてみたり。精神への直…

「自罰的感情は私を救わない」

スーツケースを引きずるを音がする。まもなく家のゲートを過ぎて、その人の部屋に帰っていくのだろう。 暦の上では、正月はまだ続く。成人の日と合わせて休みをとっている人は、8日までは休むのだろうが、私は明日から仕事が始まる。また1年が始まる。 今年…

人肌ぐらいに

昨日の日記は元旦の夜に投稿していて、だから全日空の事故の件は全く知らなかった。何度もテレビに流れる輪島市の様子に胸を痛めていたら、羽田での一件を知ることになったのだった。 この混迷をどう受け止め、咀嚼すれば良いのかわからないまま、正月休みの…

正直に生きることだ

新年早々の地震のニュースに、気持ちが持って行かれている。それぞれの仕方で「被災」した人々が画面の向こうにいる現実を、あまりうまく飲み込めない。かわいそうだなと独り言を言う前に、Yahoo!基金があったので、少額をそこに寄付をした。 今年は思った…

さもありなん:私的2023年振り返り 2/2

2023年を振り返る。 こういう時に書くものは、大抵雑になる。悲しかったことを書けば、そのほかにたくさんあった喜びが曇る。そういうものだから、これから書くことは全てではないし、書かれなかったことがそのまま私にとって重要でなかったことにはならない…

変わる生活:2023年振り返り 1/2

4階にある編集局のデスクで1人、ラップトップを広げて記事を書いていた。ような記憶がある。実際に何をしていたのかは覚えていない。部屋の南側にあった、局長デスクの真横の応接室。そこの窓から眺める宇都宮が好きで、そういう時に一人、窓を開けて冬の冷…