いちじしのぎ

生活から一時凌ぎで逃げては文章を書き、また生活に戻る人間の悲喜交交。あるいは、人生の逃避先「山」にまつわる話。

2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

茶臼岳には登らない

何度も見たがれ場を抜けていく。稜線に向かってまっすぐに吹いてくる風を肌で受け止めている。那須の山々。茶臼岳には登らない。 熊見尾根から見る茶臼岳。一度登ったきりで以降はずっと眺めているだけ。 地元では「那須岳」という言い方はしない。茶臼岳と…

公園を駆ける

光が丘公園を走ってきた。7km弱。 就業して初めて、会社に一度も足を運ばずにフルリモートで仕事をした1日だった。この過ごし方をある程度想定して家具なりを揃えたから、仕事は快適だった。好きな音楽をかけて(大抵は自然音を垂れ流している)、好きな飲み…

影のない人

気力が底をついて有楽町で電車を待っていたのが3日前だとは。けっこう回復した。よくやった、自分。 日曜日は山に行こうと思っていたが、鼻風邪が治らなかったから止めた。遅くに起きて、土曜の晩に見つけた新江古田のヘアサロンで髪を切った。いい天気だっ…

玉川上水から初台に抜ける

笹塚にてパンを買いて帰るは新宿への道。耳元には宇多田ヒカル。Play A Love Song。内省を促すアルバムのファーストソングを流しながら、舗装路をマルジェラで行く。 昼。心を十二分に満たしてくれるカレーを食べ、ピュアに真面目に作られたチャイに心を洗わ…

ラーメン

駅前のひなびた商店街の一角で見上げた空に、真っ赤に染まった積乱雲が立ち込めていた。音はしないが稲妻が見える。もうじき雨だと分かる。 確か、ラーメン屋で夕飯を食べていたその帰りだった。そこそこ評価のある店を探した。立体駐車場に停めていた車に戻…

麻布十番の飯屋

パッと入った麻布十番の飯屋は、沖縄料理を出す店だった。狭い店内に8テーブル。それぞれに椅子。座席に対して提供が間に合わなねえだろと思うのは、厨房含め、おばさんが2人だけだから。揚げたり焼いたりする音が同時に聞こえてくる。 隣の人のところに料理…